東京2020オリンピック・パラリンピック開催記念 特別企画
スポーツNIPPONSpecial Thematic Exhibition in Celebration of the Tokyo 2020 Olympic and Paralympic
Sports NIPPON
本展は、2021年に、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を記念して、日本におけるスポーツの歴史と文化を紹介したものです。世界最大規模のスポーツと文化の祭典であるオリンピック・パラリンピックが東京で開催される機会に、本展を通して国内はもとより世界中の人々に日本スポーツの歩みと魅力を知っていただくことで、日本文化の発信とさらなる発展のためのレガシー(遺産)継承の場となることを願って展覧会が実施されました。
2章構成で、第1章では江戸時代以前の日本スポーツの源流を、東京国立博物館が所蔵する美術工芸品、そして、第2章では明治時代以降の日本スポーツの発展を、秩父宮記念スポーツ博物館が所蔵する近現代スポーツ資料から紹介しました。
今回は、第2章で紹介した近現代スポーツ資料をwebページに編集しなおして紹介します。
展覧会概要
2021年7月13日(火)~9月20日(月・祝)
東京国立博物館平成館企画展示室
- 主催:
- 東京国立博物館/秩父宮記念スポーツ博物館/読売新聞社
- 協力:
- 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
- 後援:
- 公益財団法人日本オリンピック委員会
近現代の日本スポーツとオリンピック
日本では明治以降、「スポーツ」という概念が海外より受容されます。とくに、オリンピックは日本にスポーツを普及・啓発する上で重要な役割を果たしました。ここでは、日本における初期の用具や用品、オリンピックへの参加、そして招致・開催を実現していった過程を、秩父宮記念スポーツ博物館の所蔵資料から紹介します。
戦前の日本スポーツ界
大正後期から昭和初期は、戦前におけるスポーツ全盛の時代でした。第一次世界大戦後、ナショナリズムの高揚や国民の体力向上が意識され、日本のスポーツが興隆します。1923(大正12)年に起きた関東大震災後の復興期にあたる1924(大正13)年には、東京オリンピック大会開催を想定した本格的な競技施設として、明治神宮外苑競技場が整備され、政府による全国体育デーが制定されました。また、1932年ロサンゼルス大会の水泳で、日本は男子6種目中5種目で金メダルを獲得し、水泳は日本のお家芸と呼ばれました。
東京オリンピック招致
東京のオリンピック招致活動は1940年大会が最初です。1940(昭和15)年は皇紀2600年にあたり、日本の節目の年に国威を発揚すること、1923年の関東大震災から復興した近代都市東京を世界にアピールすることが主な端緒でした。しかし、日中戦争の激化により、1938(昭和13)年7月、大会を返上します。戦後は、1960年大会を東京に招致すべく「スポーツ精神の交流によって恒久平和の確立に寄与すること」を主張します。1960年大会はローマに決まりますが、その4年後の1964年大会は東京に決定し、アジア初のオリンピックを開催します。
1964年東京オリンピック
幻となった1940年大会以来、東京でのオリンピック開催は日本の悲願でした。第二次世界大戦の敗戦から経済復興を成し遂げた日本は、あらためて東京大会の実現をめざし、1959(昭和34)年のIOC総会で1964年大会の開催地として選出されました。その後、競技施設や新幹線をはじめとする交通網などが急ピッチで整備され、1964(昭和39)年10月10日、アジアで初めてとなるオリンピックが開会しました。参加国は過去最高となる94か国に上り、正式競技に加わった柔道とバレーボールを含む20競技、公開競技の男子野球、デモンストレーションとして武道が行なわれました。
オリンピックのポスター
近代オリンピックは、スポーツ以外にも競技にまつわる芸術活動を重視してきました。初期には音楽や舞踏のプログラムが主でしたが、ポスターやメダルの造形性が競われ、やがて大会運営そのものに芸術家やデザイナーが関与するようになりました。1964年東京大会では勝見勝(かつみまさる)を座長にしたデザイン懇談会が組織され、大会の統一デザインをリードしました。ポスターを担った亀倉雄策(かめくらゆうさく)は、シンボルマークによる1 号ポスターのほか、写真を全面に用いた3 種のグラビア多色刷公式ポスターを発表しました。これは歴代オリンピックでは前例のない試みでした。
オリンピックのメダル
日本が初めてオリンピックに参加したのは、1912年ストックホルム大会(スウェーデン)です。この大会では嘉納治五郎(かのうじごろう)が団長を務め、三島弥彦と金栗四三が陸上競技に参加しました。初めてのオリンピックメダルの獲得は、1920年アントワープ大会(ベルギー)におけるテニス・シングルスの熊谷一弥(くまがいいちや)となります。その後、戦争による中断を挟みつつ、オリンピック出場を目指して選手たちは努力を重ねてきました。このコーナーでは、その選手たちの活躍の一端を紹介します。
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18. 熊谷一弥(くまがいいちや)・柏尾誠一郎(かしおせいいちろう)(テニス) 銀メダル 1920年アントワープ大会
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19. 内藤克俊(ないとうかつとし)(レスリング) 銅メダル 1924年パリ大会
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20. 織田幹雄(おだみきお)(三段跳) 金メダル 1928年アムステルダム大会 (個人蔵)
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21. 大江季雄(おおえすえお)・西田修平(にしだしゅうへい)(棒高跳) 友情のメダル 1936年ベルリン大会
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22. 猪谷千春(アルペンスキー) 銀メダル 1956年コルティナダンペッツォ冬季大会(個人蔵)
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23. 1964年東京大会 金・銀・銅メダル
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24. 1972年札幌冬季大会 金・銀・銅メダル
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25. 1998年長野冬季大会 金・銀・銅メダル